WZ Editor 5.0

 ちょっと早いけど,もう今の仕様でとりあえず正式版になりそうなので,総論代わりの評論.

  • 全体評価としては,思ったよりもいい.僕の好みには合っている.
  • 「仕様や設計の考え方を理解すれば」いろんな機能を楽しめるし,強力なエディタであるということが理解できると思う.メニュー構成も,実はそれなりにルールが存在している.ただし問題は,それがWindowsアプリとしてはちょっと独特に感じる場合があること.あるいは今となっては古い作法に見えること.強力すぎてまとまりがないように見えること.たとえば色分けのインタフェースなどはどうやって設定していいか,非常にわかりにくい.標準の文書設定と個別の文書設定との間で,どの項目を共通にし,どの項目を個別にするかをどのように変えるのかも,理解するまでに苦労する(逆に言えば,それが選択できるエディタって他に類を見ないということでもあるのだが).理解さえしてしまえば,けっこう迷わず使えるのだけどね.
  • 以下,エディタ部について
    • 色分けの強化は素直に評価したい.ただ,各項目で背景色を変更できないのは残念.見出し行は背景が変わるというようにできるとカラフルでよかったのだが.現在のエディタとしては秀丸やK2,Peggyなどの高度な色分け機能を持ったエディタがあるが,WZは後発であるにもかかわらず色分け最強のエディタとはなれなかった.まあ,そこまでの機能の需要はさほど高くはないのかもしれないし,T.Y.氏もこの仕様で十分使えると判断したのだろう.僕も,残念といいつつ悪くないところまでは持ってきたなとも思っている.
    • 前バージョンからの設定の引き継ぎは相変わらず弱い.もっとも,マクロは意外にそのまま使えるものもあるが.修正が必要なものは今後それなりに出てくるだろう.設定などがこれだけ変更になれば,しかたないんだろうけど.
    • アウトラインの強化とWZ MEMO(WZ BOARDと改称)の本体取り込みはよい.わかりやすくなった.今までWZ MEMOは使ってなかったが,WZ BOARDは使おうと思う.高評価.
    • マクロベースはまだ使い方がよくわからない(^^;.
  • 次にメーラー
    • WZ MAILは,純粋に機能だけ見れば,ずいぶんと面白いメーラーに仕上がっていると思う.送受信フォルダなどが混在できマクロも使えるようになり,使い勝手はともあれ,独特の存在感を出してきた(僕の中で,だけど).
    • ただ,「非常にわかりづらい」.こりゃ,新規ユーザーでWZ MAILを使うようになるユーザーなんているのかなあ….僕は,WZ MAILのα版先行リリースですっかり慣れてしまったために,比較的馴染んでいるが(でも常用メーラーBecky!Ver.2).
    • 同じ意味で,WZ4でMAILを使っていたユーザーが,がらっと変わってしまったWZ5のMAILに愕然として,次に怒り出すことが容易に想像される.実際そのような書き込みがすでにBBSにあるし.
    • WZ MAILは「かわったもの好き」なユーザーが「新規に環境構築してみる」時には遊べるが,そんなユーザーが何人いるやら.
  • その他の機能
    • ファイラーは使いやすくなった,らしい.僕は使ってないのでどうでもいい(笑).
    • PIM.期待は少しあったのだが,こりゃあまりにもひ(自粛).Y.Nakamuraさん以外にどれくらいの人がメインで使っているのだろう.

 他に今回のテストを通じての雑感.

  • 相変わらず辛口なユーザーが多い(^^;.ゆがんだ愛情なのかな.もっと穏やかに,あるいは必要事項のみを事務的に発言すればいいのに.気持ちはわからなくないけど,無意味どころか見苦しい.
  • WZ MAILが別になったエディタのみのバージョンもオンライン販売されるようだが,これは正直意味がないような気がする.なぜなら,メーラーの不評は「そんなものを付けるならエディタ本体に注力してくれ」というものが主な理由だ.別にしてもメーラーの開発を続ける限り,今の状況は変わらない.今更メーラーの開発を中止するわけにもいかないだろうし,メーラー付きのみの商品構成にした方が開発の手間を増やさずにすむんじゃないのかな.一々別にコンパイル・パッケージ化なんて,また余計なことを.
  • 相変わらず発売スケジュールの組み方がなあ.開発者のT.Y.氏がお尻が決まってないと追い込めないタイプなのか,他の理由(パッケージ出荷など)でスケジュールが決まってしまうのか.β版から発売までがいくらなんでも短すぎる.詳細部分の追い込み不足,ドキュメントの未整備さが目立つまま出荷というのは,ほんとイメージが悪くなってしまうと思うのだがなあ.
  • 全体機能もそうだし,特にPIM機能について思うのだが,本当に豊富な機能を使わせる気があるのだろうか?もっとしっかり仕様を練り込んで,使い方の解説などしっかり周辺状況にも気を配らないと,機能を付けただけで使うのは少数派,それどころか今後の開発の足かせとなってしまう.付けるからにはちゃんとしたものにしてもらいたい.そういう意味で,WZ3 -> 4のことから言われているが,開発者が1個人という体制には無理があるのだろう.かといってチームを組んで開発するほど売れているものやら.

 書いていると危惧と不満ばかりだが(苦笑),購入は決定.今後のマイナーバージョンアップに期待.WZ以上に手に合うエディタが出てくれればともかく,そうでない現状では,WZが商品として続く程度にはしっかり売れて欲しいということなのだ.