万年筆にまつわるエトセトラ3−キャップレスの弱点

 キャップレスにラミーのブルーブラックインクを詰めて使ってみたわけで、これはかなり具合がよかった。しかし「よしよし」と思っていたのもつかの間、また問題が発生。ペン先が乾いて、インクがかすれてしまうのだ。一晩経ってその日はじめて書く時とか、胸ポケットに差しておいて暖まった時とかに、書き出すとインクが滞っているというのは非常に困る。
 評判を探ると、どうもキャップレスはその機構上、気密性が弱く、どうしてもペン先が乾きやすい、らしい。うーんそうかもしれない。パイロット純正のインクはこの点、非常にフローがいいのでかすれにくく、ペンの欠点を補っているという面もあるらしい。このインクは裏写りが激しいのだが、これはつまり、フローの良さ(浸透性の高さ)と裏表の性質なのかもしれない。でも裏写りするインクは使えない。
 しかし、ノック式というキャップレスの便利さは捨てがたい。そこで、裏写りしないもう一種のインク、プラチナ製のものを試してみることにした。ただしプラチナのインクは色合いが明るすぎるなので、同社製の黒インクを混ぜることにした。なお、インクを混ぜるのも通常は良くないこととされているので(化学反応が起きてトラブルの元になることが多いそうだ)、あくまで自己責任でと言うことになっている。少しずつ試しながら混ぜたところ、ブルーブラック:黒=10:1程度の割合だと好みの色合いになるようだ。
 この混合インクはなかなか書き味が良い。フローも悪くなく、裏写りしないという、素晴らしいものになった。
 しかし・・・、やはり乾いてしまう。ラミーBBよりマシには思えるが、それでもダメなようだ。
 この問題は現在でも解決していない。今はマメにインクの吸入を行う(水分が飛んで濃度が高くなったペン先のインクを入れ替えるため)とか、一日の始まりにティッシュでペン先の乾きをぬぐいインクを引っ張り出しておくといった対策でなんとかしのいでいる状態だ。けっこう手間というかストレスになるので、なんとか出来ないものかな…。
(続く)