ノートシステムに関する最近の模索1−システム手帳の悩み

 何回かに分けて、ここしばらくの自分のノートシステムに関する試行錯誤を記録しておこうと思う。
 2ヶ月ほど前まで、A5のシステム手帳を使っていた。

  • 国際規格のA版だとパソコン用紙などとの親和性が高い。A4では大きすぎるが、A5なら携帯性と紙面の大きさのバランスも悪くなく、リフィルの選択肢もそれなりにある。
  • オリジナルのリフィルを作成したり、書いたものをテーマ別に並べ替えたりしたいので、差し替え可能なシステム手帳が良い。

といった理由からだ。
 なんでも一冊に詰め込んでやろうと、スケジュール管理(PDAと連携)、個人的な覚え書き類(しっかり確保・参照すべく印刷したもの)、ノート・メモなどと、セクションを仕切った。一方で携帯性を考慮して、リング径15mm、ベルトやペンホルダー無しの比較的小さなバインダーにした。これを数ヶ月持ち運んできたのだった。
 が。しばらく運用して気づいた。無駄が多いのだ。有り体に言うと、スケジュール管理部分しか使用頻度が高くないのだ。
 特にノート・メモ部分を使わないことは問題だった。アイディアや会議中のメモなどはその場の資料の端に書き込むだけで、一向にまとまってこない。自分の仕事上の欠点は、普段の思考が散漫・散発的で発展性がないことだと認識していて、それを改善するためにもノートを活用しようと考えていたのだが。
 なぜシステム手帳に書く気が起きないのか。答えは単純だ。「書きにくい」のだ。
 システム手帳には当然のことながらリングがある。取り外し可能な構造上、それなりのボリュームになる。このリングが筆記時に手にあたり、書きにくさを感じる。A5サイズではあっても心理的な有効紙面はぐっと小さくなってしまう。また、薄型・小型のものを選んだとはいえ、A5のシステム手帳というのはなにか仰々しい。気軽に取り出して書き込む、という動作にはそぐわない。つまりは心理的障壁が意外に高いのだ。
 もっともシステム手帳を使い始める前からこれらの問題はなんとなく認識してはいた。それでもシステム手帳で一度は構築したのは、冒頭に挙げた2点のメリットが大きく感じたからと、A5の大きさなら(バイブルサイズなどに比べて紙面がそこそこ広いので)リングが気にならないのではないか、一度構築すればがんばって使うのではないかという期待があったからだ。

 しかし、しばらく運用して気づいたことは、書きにくさ以外にもう2点あった。
 まず、オリジナルのリフィルづくりは面倒くさくて続かないことだ(苦笑)。たとえば単なる横罫のノートリフィルでも、市販の物に納得できず、自分で罫線の幅や色などにこだわってデザインし、インクジェットプリンタで無地のリフィルに印刷して使ってみていた。自分専用にデザインするのだから使い勝手はいいし、手をかけた喜びは大きかった。が。関心がシステム手帳に向いている時期はともかく、忙しかったり気力が低下している時期にリフィルが切れたりすると、また印刷することが面倒で仕方ないのだ。結局、市販のデザインに自分を合わせる方が、よほど効率がいいのだ。自分が合わせられる程度に感性が合うものを見つけられれば、それで済む。
 また、仕事のノートもそれほど順番を差し替えたりはしないことがわかった。時系列で書いておいて、後から「あの日当たりだから」と探せば済む。むしろ時系列順の方が、後から何気なくめくった際にも目につきやすく、結果として情報の参照・記憶の定着に寄与しやすい。
 つまり、冒頭に挙げたシステム手帳のメリットの2点目は、あまり大きなものではなかったということだ。となると、「書きにくさ」というデメリットが相対的に大きくなる。
 そこで僕は決心した。「1冊のシステム手帳に全てを詰め込むのはあきらめて、多ノート主義になろう」と。
(続く)