ノートシステムに関する最近の模索5−現在のノートの長所と短所

 今使っているノートは前回示したとおりだが、気に入っている点と不満を感じている点を書いておきたい。
 まず、良い点から。
 アピカ1000年ペーパーは紙質がなかなか良い。厚みがほどほどにあって、書き味も良く、水性インクでも裏写り・裏抜けしにくい。特に裏抜けは、万年筆ユーザーの僕には重要な問題である。
 余談ながら、意外にインクが通ってしまうノート・メモ帳は多いのだ。ノート・手帳ブームの火付け役とも言えるMoleskineは、非常にインクが抜けやすい紙を使っており、見た目に反して万年筆との相性は良くない。また、インクによっても抜けやすさは違う。抜けないインクを求めてずいぶんと試したが、紙を問わず抜けにくいのは、ブルーブラックなら、Montblanc、LAMY、プラチナくらいのものである。Watermanなどの発色が良く、万年筆に優しいと言われているインクは、残念ながら抜けやすい。かといって、インクを問わず抜けにくい紙は、書き味が良くないことが多い。その点、アピカのこの紙は、インクの抜けにくさと書き味を両立していて評価できる。今までの経験ではマルマン、コクヨ、アピカの製品は抜けにくいようだが、紙とインクの相性については、別項で述べよう。
 次。罫線が薄く目立たないところが良い。最近流行の外国製ノートは罫線が派手なモノも多い。しかし僕は罫線は極力目立たない方が好きだ。
 そして作りの良さ。綴じや表紙の作りが良い。糸綴じを重ねた80枚ものだが、完全に開くことができるので、やはり万年筆で書き込みやすい。表紙が硬めなのも好みだ。
 総じて品質がよい良心的な国産ノートと評価できる。オーソドックスなおとなしすぎるデザインも、僕はむしろ好みだ。
 では短所は?
 不満を感じているのは、糸綴じA5という仕様、7mm横罫、という2点だ。
 A5という版型自体は、携帯性と紙面の大きさが両立した良い仕様だと思っている。ただ、糸綴じA5ということは、開くとA4横になる。作業スペースが狭い場合、あるいは他の資料と並べてノートを使う場合には、この横幅が使いづらく感じるのだ。加えて、先日机が無い状況で会議録を取る必要があったのだが、その状況下でもやはり使いづらかった。では、リングノートにすべきだろうか?実はこれについての考察もあるが、別項にて。
 次の不満は7mm横罫。ノートの場合、標準的な罫幅は7mm(いわゆるA罫)6mm(おなじくB罫)だろう。僕の場合、6mmでは狭く、7mmが適切な幅のようだ。しかし。文章を書くには横罫がよいのだが、徒然の思いつき・アイディアの類を、特に図入りで書くには、横罫はあまり気持ちよくないのだ。本来横に文章を書いていくための横線を踏み越えて書いていくことに、わずかながらとはいえ抵抗感があるからだ。かといって無地では整然と書く技量もなく、なにがしかのガイドは必要。ということで、できれば方眼のノートだといいのだが。これも考察は別項で。
 つまり不満とはいうものの、別にアピカのノートの問題ではなく、単に僕の用途や好みと合うか合わないかという程度の問題ではある。このノートはとりあえず使い切り、次に使うノートをどのようなものにするかを今から考えている。
(続く)